あれは忘れもしない、平日の朝のことでした。いつものようにトイレを済ませ、レバーをひねった瞬間、妙な手応えのなさに気づきました。スカッ。何度やっても同じ。水が流れる気配は全くありません。「え?壊れた?」一瞬にして頭の中がパニックです。朝の忙しい時間帯に、トイレが使えないなんて致命的。とりあえず、もう一度強くレバーを回してみましたが、やはり手応えはなく、レバーだけが虚しくクルクルと回るだけ。これはまずい、と思い、恐る恐るトイレタンクの蓋を開けてみることにしました。重い陶器の蓋を持ち上げ、中を覗き込むと、そこには複雑そうな部品がいくつか。知識のない私には、何がどうなっているのかさっぱり分かりません。ただ、レバーに繋がっているはずのチェーンのようなものが、だらんと垂れ下がっているのが見えました。「これか!これが外れてるんだ!」原因らしきものを見つけた私は、少し安堵しました。手を伸ばしてチェーンを引っ掛けようと試みましたが、狭いタンクの中で作業するのは思った以上に大変です。手が濡れるし、どの部品に引っ掛ければいいのかもよく分かりません。格闘すること数分、なんとかそれらしい場所にチェーンを引っ掛けることができ、祈るような気持ちでレバーを回してみました。ゴボゴボッ!ジャーッ!勢いよく水が流れ出した時の感動と言ったら!まるで難解なパズルを解いたかのような達成感でした。たかがチェーン一本のことでしたが、自分でトラブルを解決できたことが、妙に嬉しかったのを覚えています。もちろん、これがもっと複雑な故障だったら、すぐに業者さんを呼んでいたでしょう。でも、まずは自分で確認してみる、という行動が大切だと学びました。この一件以来、トイレタンクの中の構造にも少し興味が湧き、定期的に蓋を開けてチェックするようになりました。トラブルは突然やってきますが、少しの知識と行動力で乗り越えられることもあるのだと実感した出来事でした。
ある日突然トイレレバーが空回りした私の奮闘記