今回は、長年マンションの設備管理に携わってきたベテラン管理人の田中さん(仮名)に、洗濯機の元栓(給水栓)に関するトラブル事例や、住民の方々に注意してほしいポイントについてお話を伺いました。「洗濯機周りの水漏れトラブルは、残念ながら少なくありませんね」と田中さんは語り始めます。「特に多いのが、やはり給水ホースの接続部分からの水漏れです。長年使っていると、振動で接続ナットが緩んだり、中のパッキンが劣化したりすることがあります」。田中さんによると、水漏れに気づかず、階下の部屋まで被害が及んでしまうケースも後を絶たないと言います。「だからこそ、まず皆さんに知っておいてほしいのは、ご自宅の洗濯機の元栓、つまり給水栓がどこにあって、どうやって閉めるかということです。緊急時にすぐ水を止められるかどうかで、被害の大きさが全く変わってきますから」。最近のマンションでは、緊急止水弁付きの水栓が標準装備されていることも増えましたが、それでも油断は禁物だと田中さんは指摘します。「確かに、ホースが外れた場合の被害は防げますが、水栓本体と壁の接続部分や、水栓自体の劣化による水漏れのリスクは残ります。一番確実なのは、洗濯機を使わない時、特に夜間や外出時には元栓を閉める習慣をつけることですね。面倒かもしれませんが、それが最も安全な対策です」。また、引っ越しの際の注意点も教えてくれました。「入居時や退去時に、洗濯機の給水ホースの取り付け・取り外しをご自身で行う方もいますが、接続が不十分だと水漏れの原因になります。少しでも不安があれば、専門業者に依頼するのが確実です。また、入居時には必ず元栓の場所と操作方法を確認し、分からない場合は遠慮なく私たち管理人に聞いてほしいですね」。定期的な点検の重要性も強調します。「年に数回でもいいので、元栓の周りに水滴がついていないか、ホースにひび割れなどがないかを目視で確認するだけでも違います。もし、ハンドルの動きが固いとか、少しでも異常を感じたら、早めに管理組合や管理会社に相談してください。大きなトラブルになる前に対処することが肝心です」。最後に田中さんは、「洗濯機は便利な家電ですが、水を使う以上、常に水漏れのリスクと隣り合わせです。日頃から少しだけ関心を持っていただくことが、マンション全体の安全と快適な暮らしに繋がります」と締めくくりました。