それは、私にとって慢心と後悔の物語の始まりでした。キッチンのシングルレバー混合栓からポタポタと水が漏れ始めた時、私の頭に浮かんだのは「チャンスだ」という言葉でした。日頃からDIYに関心があり、インターネットで修理方法を調べるのが趣味のようなもの。福岡南区でも排水管つまりを排水口を交換しても検索窓にキーワードを打ち込むと、案の定、無数の成功体験や分かりやすい解説動画がヒットしました。必要なのは交換用のカートリッジとプライヤーくらい。これなら自分にもできる、いや、やるべきだ。業者に払う数万円を節約し、自分の手で問題を解決する達成感を味わえる。そんな甘い見通しに、私の心はすっかり浮かれていました。この時、すぐそばに潜んでいた数々の落とし穴の存在に、私はまだ気づいていなかったのです。 意気揚々と近所のホームセンターへ向かい、カートリッジ売り場に立ちました。様々なメーカーの製品が並んでいましたが、事前に調べた知識を頼りに、我が家の蛇口に適合しそうなものを一つ選び購入。高石市の浴室専門で排水工事するリフォームからは、これが最初の失敗でした。家に帰り、いざ交換しようと古いカートリッジを取り外してみると、買ってきた新品とは微妙に形状が違うのです。蛇口本体の型番を正確に確認するという基本中の基本を怠った結果、私は無駄な時間と部品代を費やし、再びホームセンターへ走る羽目になりました。今度は取り外した古い部品を持参し、店員さんに確認してもらうことで、ようやく正しい部品を手に入れることができました。この時点で、当初の計画にはなかった余計な手間がかかり、少しだけ嫌な予感が心をよぎりました。 気を取り直して、いよいよ本番の交換作業です。レバーハンドルを外し、カバーナットをプライヤーで掴んで回そうと力を込めました。しかし、ナットはまるで溶接されたかのようにびくともしません。長年の水垢やカルキが固着しているのでしょう。私は焦り始めました。工具箱の奥から持ってきた安物のプライヤーでは、しっかりとナットを掴むことができず、力を入れるたびに滑ってしまいます。それでも諦めきれず、全体重をかけて無理やり回そうとした瞬間、「ガリッ」という嫌な感触と共に、ナットの角が丸く潰れてしまいました。いわゆる「なめてしまった」状態です。こうなると、もうプライヤーで掴むことすらできません。万策尽きた私は、ネットで見つけた「潤滑スプレーを吹き付けてハンマーで軽く叩く」という荒療治に手を出してしまいました。しかし、素人の浅知恵は状況を悪化させるだけ。ナットは外れないまま、蛇口の美しいメッキには無数の傷が付き、私の心も深く傷ついていきました。 途方に暮れ、半ばパニックになりながらも古いカートリッジを何とか引きずり出すと、さらなる絶望が待っていました。内部のゴムパッキンが劣化して千切れ、蛇口本体の奥にこびりついていたのです。これを取り除かない限り、新しいカートリッジを入れても意味がありません。細いドライバーで掻き出そうと試みましたが、うまく取れないばかりか、内部を傷つけているような感覚さえありました。それでも後には引けず、新しいカートリッジを無理やり押し込み、カバーナットを手で締められるだけ締めて止水栓を開けてみました。するとどうでしょう。水漏れは止まるどころか、以前よりも激しく、シャーという音を立てて水が噴き出し始めたのです。ここでようやく、私は自分の手に負えないことを悟りました。時刻はすでに夜の10時。私は惨めな気持ちで、スマートフォンの画面を頼りに緊急対応の水道業者を探し始めたのです。駆けつけてくれたプロの業者は、なめてしまったナットを特殊な工具でいとも簡単に取り外し、本体内部に残ったパッキンの破片を専用の器具で丁寧に除去してくれました。「固着がひどい時は、無理せずプロを呼ぶのが一番ですよ」という彼の言葉が、深く胸に突き刺さりました。結局、修理は無事に終わりましたが、私の手元には、当初節約できるはずだった金額の何倍もの請求書と、二度とDIYはしないという固い決意だけが残りました。
甘く見ていたシングルレバー水栓DIY修理顛末記