トイレで用を足した後、レバーをひねったのにトイレットペーパーだけが流れず、水面にぷかぷかと浮いている。この光景は、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。水に溶けるはずのものがなぜ流れないのか、不思議に思うと同時に焦りを感じる瞬間です。この現象が起こる主な原因は、実は非常にシンプルで、いくつかの要因が複合的に絡み合って発生します。最も一般的な原因は、一度に流すトイレットペーパーの量が多すぎることです。日本のトイレットペーパーは水にほぐれやすいように作られていますが、その許容量には限界があります。大量のペーパーが団子状に固まってしまうと、水の流れだけでは排水管の奥へ押し流すことができず、比重が軽いために水面に浮き上がってきてしまうのです。次に考えられるのが、トイレタンクから流れる水の量が不足していることです。近年の節水型トイレは、少ない水量で効率よく流す設計になっていますが、これがペーパーの量と見合わない場合に流れ残りが生じやすくなります。また、タンク内の部品の不具合で、規定量の水が便器に供給されていないケースも考えられます。レバーの「大」「小」を適切に使い分けていない場合も同様です。さらに、トイレットペーパーの種類も影響します。ダブルやトリプルといった厚手のものや、海外製の硬いペーパーは、日本の一般的なシングルロールに比べて水にほぐれるまでに時間がかかります。そのため、完全にほぐれる前に水の勢いがなくなり、流れずに浮いてしまうことがあるのです。これらの要因に加え、排水管の勾配が緩やかであったり、内部に汚れが蓄積して水の通り道が狭くなっていたりすると、さらに流れにくい状況を生み出します。トイレットペーパーが浮くという現象は、こうした複数の原因が重なった結果として起こる、トイレからのサインと言えるでしょう。
トイレットペーパーが流れない!水面に浮く原因とは